社会を変える行政職員 ~青年部~

NPO法人陽和には、青年部という将来子どもに関わる仕事を目指す学生さんが所属しています。

なぜ青年部を設けたかというと、僕は活動を通して子ども達の支援が大人のルールや都合で決められてしまっていたり、子どもの気持ちを汲み取ることなく、上から目線であったり、勝手な決めつけにより、心の扉を閉ざしている子どもを何人も見てきました。
先日もこのような出来事がありました。

陽和と提携をしている企業が、少年の受け入れで動いてくださっていました。
その少年は色々な事情がある為、行政の方も関わっている子でしたが、受け入れについて行政の方と社長が打ち合わせをする事になりました。
しかし、打ち合わせが終わった直後、社長から怒りの電話がかかってきました。

「少年院を出た子はすぐに仕事も辞めるし、続かないし問題を起こす事が多い。本当に大丈夫ですか?」と、冷たく言われたそうです。

社長は続けて、「なんであんな言い方するんですかね?これから頑張ろうとしている子に対して。言い返してしまいそうになるぐらいムカつきました。ここで何か言ってしまうと受け入れに問題が出てしまうといけないと思って我慢しましたが・・・」
と、教えてもらいました。

そして、電話の最後には「あんな大人が関われば、またグレて犯罪しますよ。少年の気持ちが分かりました」と素直な意見も話して頂きました。

もちろん、想いのある素晴らしい行政職員さんもいらっしゃいますが、不思議と僕が子どもたちの口から聞く話は、とても支援者としてふさわしくないような行動や言葉に溢れています。

今回の様な出来事をたくさん経験してきた僕は、団体の中に青年部という枠を作り、将来行政職員を目指す若者を受け入れて、子どもにしっかりと寄り添えるように共に成長していき、一緒に子どもたちを笑顔にしていけないかなと考えました。

なぜなら、子どもたちの本音の気持ちや、子どもたちに寄り添う為の大切な事は、教科書では学べないからです。
いくら本で勉強をしても、現場ではマニュアルなどありません。
学校の試験で合格しても、満点を取っても、社会で大切な人間力というスキルは別の所にあります。

社会に出る前から、困難を抱えた子どもたちに関わり、本音の部分を聞いたり、子どもたちと真剣に寄り添っている大人がどのような関わり方をしているのかを学んでもらえたら、社会に出た時に大きな変化に繋がると考え青年部を作りました。

心の扉を開く関わりができなければ、問題の本質が分からない為、支援のあり方は最も大切な部分になります。

そして、社会に飛び立った後は、一緒に子どもたちについて考え、そして寄り添い、子どもの最善の利益を追求していけたら社会を変えていけるなと考えました。

想いで作った青年部ですが、ありがたいことに大学で講演をした際に興味を持ってくれた学生さんを中心に増えていき、現在は15名の学生さんが所属してくれています。

今年大学を卒業の学生さんは、県職員や、保護観察官、家庭裁判所調査官など、様々な道に4月から進んで行きます。

終わりの始まりであり、これからが本番です。
陽和で感じた事を活かして、子どもに寄り添える社会人になる事を楽しみにしています。

そして、これからも志のある若者と出会えることを楽しみにしながら、想いを伝え続けていきます。

写真は、地方に配属が決まった学生さんから「お世話になりました」とお礼のお菓子を頂いた物です。
嬉しすぎて、食べれそうにありません。

TELTEL