2021.06.05⼁ブログ
『少年の生き直しで大切なこと』
先日、ある少年がこの様に言ってくれました。
「僕は将来、尊敬する渋谷さんのような支援者になります。だからSNSのアカウントを消します」
これは僕の自慢話ではなく、とても深い意味のある出来事でした。
今の若者にとって、SNSは切っても切れないものです。
一方で、施設を出て社会で生き直しをしようとする過程で、交友関係はとても大切な部分になります。
「類は友を呼ぶ」という言葉があるように、更生の道を歩むのに、誰と一緒に歩のかが、その後の人生を大きく変えます。
真面目になろうと思っていても、昔の非行仲間が落ち着いていなければ、「真面目に生きること=ださい・カッコ悪い」という価値観で足を引っ張られてしまいます。
理想は、過去の友達が「もう悪い事をするのをやめる!」と、一致団結して良い方向に切磋琢磨していく事です。
しかし、現実はそんな理想はほぼなく、少年院を出た初日に、「お帰りパーティー」を開き、初日から薬物などの犯罪に手を染めてしまうケースを過去に何件も見てきました。
そして、情報社会なので、友達と距離を置くと思っても、SNSで誰かと繋がっていれば、またそこから旧友と繋がり、元の環境に戻ってしまいます。
この少年は施設の中に居る時から、「僕はSNSのアカウントは変えないです!」と宣言をしていました。
社会に帰ってきても、宣言通りSNSのアカウントを消す事はありませんでしたが、先日会った際に、「友達と遊ぶ事はめちゃくちゃ大切な事だよね。友達がいるから頑張れたりもするから!だけど、これから先、それ以上に大切なのはどんな人と関わるかだと思うよ。コンビニに座り込んで、タバコをポイ捨てしている人は、同じような事をしている友達しかいない。自分が将来どうなりたいのか?を意識するといいよ。自分の目指す所、環境次第で人脈も変わるからね!」と伝えました。
そして、昨夜、一歩踏み出す事を僕に宣言してくれました。
親や少年に関わる大人がいくら言っても、本人の意思は変わりませんでしたが、少年は将来の目標が明確になり、自分の意思で、変わろうと決意した瞬間でした。
他人を変える事はできない。
自分を変える事ができるのは自分の意思のみ。
その意思を動かすには、人と人との繋がりや信頼関係。
心の扉を開けるしかないと僕は考えています。
子どもの心の扉を開けるにはどうしたらいいか?
これからも子どもたちとの「あり方」を伝えていきたいと思います。
写真は、少年がラテアートで描いてくれた幸せクマ🐻