特定⾮営利活動法⼈陽和

2022.02.26ブログ

母への想い

『渋谷の過去 ~母~』

今、人間力大賞の審査員を務めさせて頂いています。
2019年、名古屋市長賞を受賞し、全国版の人間力大賞「TOYP」にも進ませて頂き、全国の社会活動家20名に選んで頂きました。

昨夜は夜中の2時まで審査員の3人と審査について話し合っていましたが、ふと、自分が受賞をした時の事を思い出し、賞を受賞して何が変わったのか、何が嬉しかったのかなどを振り返っていました。

僕は幼稚園児の時に両親が離婚をして、4歳か5歳の頃から母親と2人の生活が始まりました。

ずっと専業主婦をやっていた母親でしたが、父親はどこかに行き、養育費も支払われない為、僕を食べさせるために社会経験もあまりない人でしたが、やったことがない美容の世界に飛び込みました。

人前にも立ったことがない為、緊張して震えながら社員の皆さんに売り上げの目標を話している姿を今もはっきりと覚えています。

そんな母でしたが、気が付けば美容院を二店舗、エステサロンまで経営をしていて、一生懸命に仕事をしてくれました。

次第に仕事ばかりになり、中学生以降は僕が非行に走ったこともあり、あまり母親との温かい思い出はありません。

1つだけ今思う事は、僕は褒められた記憶がないという事です。

大人になり、「NPO法人で活動をすることになったよ」と、自分が刑務所の中で「ボランティア活動をする」という目標が実現したことを報告した時にも、「非行少年に関わってどうするの?あなたは少年の時、更生できなかったじゃない。あなたに何ができるの?」と言われました。

母親の心の傷はとても深く、今もまだ癒えていないと感じたと同時に、とても悔しい気持ちになりました。

初めて新聞に掲載して頂いた時も、褒められることはありませんでした。

そして、社会活動家20名に選ばれ、横浜の授賞式に行く事になった時、母親に「横浜で授賞式あるけど行く?」と声をかけると、特別嬉しそうなリアクションはなく「行こうかな」と返事がありました。

母親と2人で県外に行き、旅行みたいな事は、僕の記憶では生まれて初めての事でした。

横浜のみなとみらいを歩き、観覧車を背景に写真を撮りました。
母親とツーショットで写真を撮ったのも、きっと小学生ぶりだと思います。

そして、授賞式では、会場入りの時間が早かったので、僕は一人で先に会場に向かいました。

授賞式のリハーサルを終えて、いよいよ本番になりました。

会場に入ると、最前列に座っている母親の姿がありました。
手に持ったスマートフォンは、ずっと僕に向けられて、周りの目を気にしずに一生懸命、僕の写真を撮っていました。

その姿はとても嬉しそうでした。

今まで一度も褒められた記憶がありませんが、その姿を見たとき、褒めてくれているような気がしました。
喜んでくれているんだなとも感じました。

その瞬間、初めて親孝行ができた気がしました。

僕にとって、人間力大賞を受賞して一番嬉しかった事は、母親が喜んでいる姿が見れた事でした。

そんな母は、70歳。
残りの人生、幸せを感じてもらえるように、寄り添っていきたいと想います。

そして、この親孝行のバトンを、関わる少年たちに渡していきたいと思います。

お母さん、ありがとう!

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