『行政とNPO』

先日は、愛知県からのお声がけにより、行政とNPOの意見交換会に参加させて頂きました。

陽和ともう一つ選ばれた団体は、スイーツ友達の荒井 和樹さんが代表をされている全国こども福祉センターさんでした。

話題提供は愛知県警察本部少年課です。

警察としての専門は「検挙」をするという業務だが、最近では「支援」という事に力を入れていく事の必要性を感じている。
しかし、どのように支援をしたらいいかという課題がある為、連携をテーマに意見交換をしたいという趣旨のもと、児童相談所、保護観察所、名古屋市などの専門機関の意見交換をしました。

行政の方が話し終えると、最後に渋谷がお話をさせて頂きました。

冒頭の言葉では、「現場で聞く少年たちの声を基にお話をさせていただく為、皆様にとって悪口を言われているような表現に聞こえてしまうかもしれませんが、どうか少年たちの声と思い、ご容赦頂けますと幸いです」と、お伝えした後、僕の関わる少年たちは「大人が嫌いだ」「行政の人とは二度と関わりたくない」という言葉を口にしている子が多い事。

保護者からは、「相談したが取り合ってもくれなかった」「なんの解決にもならなかった」という声も多く集まっている事。

陽和の活動をテレビ・新聞・SNSで知り、「こんな活動があったのが知らなかった」という声をよく聞く事。

学校、行政であっても非行を未然に防いだり、再犯をしない為の取り組みの弱さの問題。困難を抱えた子どもたち、家族の声が拾えていないのが現実という問題がある事。

また、支援があったとしても年齢が条件で支援が終わりになってしまうなど、子どもの事情ではなく大人の事情で支援が終わっているケースがあることをお伝えしました。

最後に、「行政の方が関わってこられた少年たちの中に、連絡が取れなくなる子がいると思います。しかし、僕達と連絡が取れなくなる少年は一人もいません。これが今の少年たちの現状であり、課題です」とお話をさせて頂きました。

会議終了後には「おっしゃる通り、デリケートな年齢になると連絡が取れなくなる子はいます。陽和さんには少年たちが本音で話ができるという映像が、浮かんできました」という言葉をかけて頂きました。

行政にしかできない事もたくさんありますが、その反面、できないことも必ずあります。

「子どもにとって何が一番幸せなのか」の気持ちを第一に考え、行政と民間の壁がもう少しなくなればいいなと感じています。

今回の会議をきっかけに、行政の方と一緒に動ける日が来ることを願いたいです。

『1年の終わりに』

昨日は1年の終わりに山登りに行き、自然を感じながら自分と向き合い、1年を振り返りました。

2021年を振り返ると、一度も体調を崩すことなく、色々なご縁のお陰で1年を笑顔で終えることができたなと感じ、感謝の気持ちでいっぱいになりました。

コロナ禍ではありますが、子どもの支援に自粛という言葉は僕の中ではなく、毎日が困難を抱える少年や保護者さんと向き合う日々でした。
バカは風邪を引かないという言葉がありますが、一度も体調を崩すことがなく毎日を楽しく過ごさせて頂きました。

また、再犯率が高いといわれている社会ですが、団体を設立してから再び少年院に入ってしまう少年は0人で、有り難いことに関わる少年たちはみんな社会で生活をしてくれています。

愛知県の再犯防止に取り組む団体として登録して頂いたり、愛知県や愛知県警察本部との意見交換会議に参加をさせて頂いたりと、活動の幅も子どもたちを様々な角度から関われる体制を、一歩一歩前進していけたかなと思います。

もちろん、うまくいくことばかりではなく、「猫が死んだから休みます」と言って仕事を休んでしまったり、一緒に企業様に謝りにいくことも頻繁にありましたが、少年を受け入れて下さる企業様に恵まれ、陽和で関わる9割の少年は、学業や就職をして毎日を過ごさせて頂いています。(残り1割は発達障がいなどを抱えて練習中の子たちです)

そして、有難いことに、少年たちの失敗にもたくさん寄り添わせてもらいました。

少年たちはたくさん失敗をします。
びっくりするぐらいの失敗もします。
「そんな事がある?」と、驚きを通り越して笑ってしまうような出来事もたくさん起こります。

しかし、僕は「失敗しない人生の方が、よっぽどの失敗」だと考えています。

行動をしない、挑戦をしない、困難が無い人生は無難な人生といいます。
困難が有ることは、有り難い事。
ありがとうを漢字にすると「有難う」になります。

つまり、失敗は挑戦するから生まれます。
元気の良い子ほど、失敗をたくさんします。
有り難いことに、力の使い方を間違え、正しく力を使えない子が僕のもとに集まってくれます。

そんな挑戦する少年たちの失敗を価値に変えていくことが僕の喜びです。

団体を設立して、関わる少年の人数は1.5倍になりました。
たくさんの少年たちと出会えた事や、温かいコメントを下さる皆様、活動を支えてくださっている皆様に心より感謝申し上げます。

来年も、太陽のようなポカポカとした暖かい光を、困難を抱えた少年や保護者さんに届けたいと想います。

明くる年も変わらぬご愛顧をいただけますようお願い申し上げて、年末のご挨拶とさせていただきます。

どうぞ良いお年をお迎えください。

追伸 今日は昨日の疲労でお尻から足の先まで筋肉痛です。
少年たちから「カッコ悪いおじさん」と呼ばれないように、いつまでも自称「お兄さん」と貫けるように、背中で語れるお兄さんを目指していきたいと思います。

              令和3年12月31日
  特定非営利活動法人 陽和 理事長 渋谷幸靖

◇お知らせ◇

少年たちの社会復帰後の環境を考え、更生していく上で大切な仕事について考える会です。

『支える社会の実現に向けて』

日時 令和3年12月12日(日)
場所 ソレイユプラザなごや
名古屋市中区栄一丁目23番13号
伏見ライフプラザ12階

こちらの参加フォームよりお申込み下さい。
zoom参加可能です。

https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSf0mlIVaHqVBwwnWQ4waUrttN7yiYjqMezbqMrfrTlM5Ss5Uw/viewform?usp=sf_link

 

 

『大人のあり方を考える勉強会』

10月3日(日)にイベントを開催致します。

活動の報告や、実際のケースを元に、困難を抱えた子どもと、どのように向き合えばいいのかをお話させて頂きます。

第3部では、理事長渋谷が関わる自慢の少年達が、大人に感じている事や、少年院に入る前の環境や、現在、どのような気持ちで更生に向けて歩んでいるのかをお話しさせて頂きます。

少年達は初のスピーチですので、是非、温かく見守って頂けると嬉しいです。

zoom参加も可能ですので、ご参加希望の方はこちらのフォームにてお申し込みを宜しくお願いします。

https://form.run/@npo-hiyori–1630830873

コロナ対策の為、人数を制限していますので会場参加の方はお早めに申し込み頂けますと幸いです。

後援:愛知県 名古屋市 愛知県教育委員会 愛知県社会福祉協議会 名古屋市社会福祉協議会

NPO法人陽和はこの度、再犯防止に取り組む団体として、愛知県のホームページに掲載して頂くことになりました。

再犯だけではなく、全ての少年犯罪を減らしていけるように、邁進していきます。

一人でも多くのご家族の笑顔が戻ることを願っています。

お子さんが逮捕されたり、少年院に入りこれから先の道が見えなかったり、トラブルに巻き込まれたり、家族関係が悪くなっていたり、発達障害などで生きにくい環境だったりと、家族だけでは解決できない場合が多いです。

夜間の対応も休みなく対応していますので、1人で抱え込まずにご相談下さい。

『少年院で講話』

今日は、少年院に入院している少年全員に講話をさせて頂きました。
全体行事でしたので、号令が飛び交う少年院らしい雰囲気で、普段の面会室で見せてくれる楽しそうな笑顔はありませんでした。

「1・2、1・2」の号令に合わせて、少年が行進をして講話室に入って来てくれました。
少年院の先生の「止まれ!」の声で行進が終わり、椅子に座った後は「黙想」の声で少年たちは目を閉じて静かに待ってくれました。
手はしっかりと太ももの付け根に置かれていました。

講話が始まると、「大人が嫌いな大人だからみんなの仲間だよ」と挨拶をさせて頂き、「歯を食いしばって頑張れとか、汗水流して働きなさいとか、そんな眠くなるような話をしにきた訳じゃないからね」と伝えて、話をしていきました。

社会に帰ってから訪れる劣等感や、自分に負ければ再び罪を犯すことになるという事や、それを乗り越えていくにはどうしたらいいかなどを伝えると、講和後には質問の手が止まりませんでした。

また、「将来の夢や目標がある人は手を挙げてください」と質問すると、約9割の子が元気よく手を挙げてくれました。
大学生の子に同じ質問をすると2割程度しかいつも手が上がりません。

元気よく手を挙げる少年たちを見て、嬉しくなり「ありがとう。俺はいつも色々な大人に、少年院に入る子は力の使い方を少し間違えただけで可能性の塊なんです!って、みんなの事を話してるんだ。その夢や目標を実現できるようにしていこうね。みんなは自慢の子たちだよ」と伝えました。

そして最後にこのように伝えました。
「今、少年院に居る時間を大切にしてほしい。社会に出ればYouTubeやゲーム、友達などたくさんの楽しい事が待っている。
一方で、社会で自分に向き合う時間を作ることはとても難しい。本を読もうと思っても他にやることがあって中々読めなかったりする。

社会に帰るまでの時間が、自分に向き合う最後のチャンスという気持ちでとらえてほしい。
そして、自分に向き合い、自分にとっての幸せを見つけてほしい。
お世話になった人へ恩返しなのか、お母さんへの親孝行なのか、仕事を頑張ることなのか、人それぞれ道は違うけど、自分にとって大切な何かを持たない限り、社会に出た時に自分との戦いに負けてしまう。

社会に出れば大人から否定されたり、嫌なことや悔しい事がたくさんある。失敗だってたくさんする。
僕は25歳の時に赤いペンでNPO法人を作るという夢をノートに書いた。
だから自分に負けそうな時が訪れても、乗り越える事ができた。みんなも自分の大切な何かを見つけてほしい。
見つけれなかったら一緒に探そう。大人でもみんなを応援してくれる大人もいる。だからいつでも頼って下さい」

今日、出会った少年たちが、「僕は少年院に入って良かったです」と胸を張って言える日が来ることを願いたいと想います。

先日は第一回の総会を開催させて頂きました。
設立シンポジウムから数えると84日目。

84日を振り返って印象的だったのは、葛藤しているご家族の声でした。

「色々な相談機関に相談をしてきたが、一向に出口が見えずに困り果てていた」
などと、ご家族だけで苦しんでいた状況がひしひしと伝わってくる言葉を何度も聞きました。

また、家族だけではなく企業様からは、
「過去にNPOと関わっていたが、ひどい関りをされたので、もうNPOと関わるつもりはなかったけど、陽和の活動を知り、応援をしたい」というお声を聞くこともありました。

84日間の間には、様々な機会を頂きました。
講演は少年院、日本福祉大学など6回させて頂き、
メディアの取材では、NHK・CBC・中日新聞・朝日新聞・ぼらみみなど、7回社会へ発信をさせて頂きました。

困難を抱えて苦しんでいる子どもたち、ご家族の未来が明るくなるように、そして光を避けて生きている子ども達が、夢や目標が持ているように、太陽のようなポカポカとした光を社会に送り続けていきたいと思います。

一人でも多くの子どもたちが、豊かに平和に過ごしていけるように皆様と力を合わせて進んでいきたいと思います。

第2回の総会では、たくさんの笑顔のご報告ができるように努めて参りますので、今後とも陽和をよろしくお願いいたします。

先日、市役所の職員の方から連絡を頂き、少女と繋がらせて頂きました。

虐待を受けて育ち、とても苦しい家庭環境の中、実家を出てなんとか自立へと進んでいた矢先に、コロナで職を失いました。
そして、すぐそこまでに仕事ができる工場の仕事を住み込みでやるも、仕事があわなくうつ状態になり、仕事を辞めることになった少女。

住み込みの仕事なので、仕事を失えば家も失うという状況でした。

家族に頼る事もできず、今後の見通しが難しい為、一緒にこれからの事をお話させて頂くことになりました。

面談をすると、とても緊張している様子でしたが、すぐに明るく話をしてくれました。
しかし、明るい表情とは裏腹に所持金は1000円しかなく、今日寮を出ないといけない状況でした。

つまり、今日の夕方から所持金1000円で住所を失い「住所不定」になってしまう所でした。

生活基盤を整えることを考える必要があり、彼女の好きな事や今後挑戦したいことなど、彼女の希望を元に色々な選択肢を探しました。

そして、人と触れ合う事がやりたいと希望を教えてくれた為、彼女の明るさや優しさが生かせられる介護の仕事を提案しました。
彼女も興味を示してくれた為、その場で見学の段取りを、理事の杉浦 直美さんが手配してくれました。

住む所も考えないといけなかった為、制度を利用させて頂き、市役所の職員の方が、動いて下さることになり、住む所と仕事の見通しを立てることができました。

面談が終わった後、安心してくれたのか、最後にこのような言葉を言ってくれました。

「いつも誰にも相談できず自分で考えてばかりだったので、すごく心強く感じました」

今まで苦労をしてきた分、笑顔で生活ができるようになってほしいなと想いました。

今回、彼女とのご縁を頂いた市役所の職員の方に感謝すると共に、改めて行政機関と連携を取る事の必要性を強く感じました。

一人でも多くの少年少女と繋がっていけるように、入り口を広げていきたいと想います。

CBCテレビ様に密着取材をして頂きました。
活動の様子をこちらからご覧頂けます。

朝日新聞の歴史ある「ひと」に掲載して頂きました。

NPO法人陽和では、子どもたちを一緒に支えて頂ける会員様を募集しています。

困難を抱えた子どもたちは、普通の生活を送る事が難しい状況にいます。

制度の狭間で苦しみ、誰からの支援もなく、出会った時には電気代が払えない状況で、電気が止まってしまうようなケースが後を経ちません。

育ち盛りな時期なのに、1日の食事がカップラーメン1つだけで生活をしている子もいます。

当たり前の事が、当たり前ではないのが困難を抱えた子どもたちの環境です。

1人でも多くの子どもたちを笑顔にしていけるように、皆様のご協力をお願いさせて頂いております。

年会費は3,000円になります。

会員になって頂くと、会員様限定で毎月の活動報告を見る事ができ、日頃の活動をより身近に知る事ができます。

また、会員様限定の勉強会や交流会のお知らせを送らせて頂きます。

NPO法人陽和は、皆様と一緒に歩みます。

誰一人取り残さない社会を目指し、「どの子も大切に」を団体の柱として、活動を邁進して参ります。

会員希望の方は、ホームページ内のお問い合わせからご連絡を頂くか、npo.hiyori8@gmail.comまでご連絡を頂けますと幸いです。

◆お問い合わせ◆

https://npohiyori.net/contacts/

 

 

 

 

 

『人は変われる』

先日、約5年ほど関わりのある青年の結婚式に出席をして、乾杯の挨拶をさせて頂きました。

少年院を出てからは、全く仕事が続かず、就職をしても初日で辞めてしまったりと、約2年間ほど苦しい時間を過ごしました。

その間、仕事が2ヶ月以上続く事はありませんでした。

家賃が払えなくなったりと、どん底の時期が長く、川に飛び込んで命を絶とうとしたこともありました。

そして、何度も転職を繰り返して、自分に合った仕事と巡り合うことができ、今では仕事を継続して、評価もされ、会社のエースとして頑張っています。

乾杯の挨拶では、何を話そうかなと思い、あれこれ考えましたが、話をしたら2時間ぐらいかかりそうだったので、一言だけ青年に伝えさせて頂きました。

「幸せな姿を見せてくれてありがとう」

少年が青年になり、幸せな笑顔の姿が見れるなんて夢の中にいるみたいでした。

僕は続いて、「幸せな姿を見ることができて、僕の夢が1つ叶いました。次の夢は〇〇君が僕の団体のスタッフとなって一緒に活動ができる事です」と、次の夢を伝えさせて頂きました。

その後、青年は立派に両親へ感謝の言葉伝えていました。

式の途中で、青年と握手をした際には、嬉しくて涙が止まりませんでした。

そして、式が終わり式場を出ると、青年のお姉さんが
走ってきて声をかけてくれました。

「いつも本当にありがとう御座います。あの子がこんな立派になるなんて、夢にも思っていませんでした。人は変われるんですね」と、感謝の気持ちを伝えてくださいました。

青年と関わり、約5年。

山あり谷あり。

今振り返れば、谷レベルではなく、底なし沼のような道でした。

今まで、ご両親の苦しむ声と顔しか見た事がありませんでしたが、満面の笑みで、幸せそうな息子の姿をスマートフォンのカメラで撮影している姿が嬉しかったです。

「人は変われる」

青年が背中で教えてくれました。

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